Mysterious Lover
「モデルは3名、候補あげときました。モデル事務所とのスケジュール調整も済んでます。モデルなしの方はイラストで展開する予定で、こっちもイラストレーター候補は3名、キープ済み。競合他社のかぶりチェックも終わってます」
う……完璧だ。
なんか、自分に自信がなくなってくる……。
「ね、スカイツリー行きましょう」
「……一緒に行ってくれる相手なんて、いっぱいいるでしょ」
「それってヤキモチ?」
「な……っ」
「いいなあ奈央さんが妬いてくれるのって、新鮮で」
「妬いてないっ!」
「幸せだ♪」
「だからっ妬いてないよ!? ちょっと、聞いてる!?」
「いいじゃん、いい加減素直になりましょう」
社内だから! ここ、社内だから! みんないるからっ!!
そんなにくっつかないで! ああっ寄るな!
たまらず、わたしは席を立って逃げ出した。
慌てふためくわたしを、もう慣れてしまったのか、みんな見て見ぬふり。
いや、なんか違う。それじゃダメな気がする。