Mysterious Lover
お母さん、どこだろ? 買い物かな? 今日の夜ご飯、何かな?
ハンバーグだといいなあ。
わたしは廊下を歩いて、バスルームへ向かう。
——だめ、戻りなさい! 戻って!!
水の音が、響いてる。その音に交じって、わたしの耳は奇妙な音をとらえた。
ピチャン……ピチャン……
しずくが垂れる、音。蛇口から流れる水とは違う、別の音。
この音は、何?
わたしは、バスルームのドアへ、小さな手を伸ばす。
——だめ、だめ! 開けちゃダメ! そのドアは開けないで!!
お母さん、どこに行ったのかなあ?
わたしはドアを、開ける——