Mysterious Lover
って言いだしたのは拓巳。
ギョッとしてると、拓巳は腕を組んだままセットを覗き込んだ。
「商品の美しさをもっと出した方がいいんじゃないですか? コピーでも『クリスマスギフト』って煽るし、誌面の他ページでも特集組んでるわけだし。クリスマス感はもう十分でしょう? このカットの中で何もそこまで強調しなくてもいいんじゃないかなあ」
ちょちょっと、拓巳ってば何を言ってるのよっ!
焦って彼を止めようとしたんだけど。
「じゃあさぁ、君ならどうする?」
探るように、高林さんが拓巳を見る。
「オレだったら……そうだな。全部とっぱらいます」
さぁって血の気が引いた。
こいつ、今サラッと宮本さんのスタイリング、全否定しなかった!?
恐る恐る宮本さんを伺うと、腕組みをしたまま沈黙してる。
「布の上に商品おいて、バックに……例えば花を1輪だけ。生花は、宮本さんの荷物の中に何種類かありましたよね? そちらも使うつもりで用意してくださったんじゃないですか?」
え……?
そんなとこ……わたし、見てなかった。
「……だってさ。宮本ちゃん、どうする? こいつはぼくの、っていうより、君のテリトリーだよねえ」
高林さんが言っても、
宮本さんはギュッと眉根を寄せて、口をつぐんでいるだけ。
やややっぱり……気を悪くした、よね?
ハラハラしながらどうフォローしようか考えていると。