Mysterious Lover
ハッと、目を開けた。
白い天井が見える。
遮光カーテンの隙間から、まばゆい光が室内に潔いほどの直線を描いていた。
その周りに、見慣れた1LDKの部屋が、ぼんやり浮かび上がっている。
あぁ夢……か……。
一気に全身の力を抜いた。抜いた、ってわかるくらい、わたし、全身を緊張させて寝てたみたい。
心臓が……まだすごい音を立ててる。
胸に手を当てて、呼吸を整えた。
生々しい夢は……きっと昨夜の無言電話のせい。
枕元のスマホに視線をやった。
嫌なこと、思い出しちゃったじゃない……。
ぬぐった額の汗は、ひんやりと冷たい。
昨夜のあれ、なんだったんだろう?
誰かのいたずらだと思うけど。
なんでこんなに気になるんだろ。
そうとう疲れてるのかも。
ここんとこ締め切り重なって忙しかったし。
「やばっ今朝ミーティングあったんだっけ」
えいって勢いをつけて、わたしはベッドから起き上がった。