Mysterious Lover
「あ……いえ、なんか用事があったみたいで。とにかく、わたしと拓巳がどうにか、なんてあるわけないじゃないですかっ。出会って数秒で告白とか、全然信じられないし。立派なチャラ男ですよね」
チャラ男が立派って、なんなの。
あぁもうわたしの日本語、めちゃくちゃだ。
「奈央……」
工藤さんの大きな手が、私の後頭部を押さえこみ、そのままかき抱くように口づけられる。
「くど……さ……」
わたしの体をシンクに押し付けて、工藤さんはそのままキスを深めていく。
絡まる舌の淫らな動きに、体の奥が勝手にうずき始める。
でも。やだ……今夜は……したくない……っ。
「ん……やっ……!」
首を振って、腕をつっぱねるけど、工藤さんの動きに迷いはなくて。
そのままわたしはするするとジャケットを脱がされ、シャツのボタンもはずされてしまう。
鎖骨に落ちたキスは、次第に下へと降りていって。
「工藤……さ……今夜はっ……あっ」
だめだ……流される……
拓巳……
その名前を口の中でつぶやいて、目を閉じた時。