あなたが好きなんです
「柚奈ー!!生徒会長さんが呼んでるー!」

柚奈が帰り支度をしているときにクラスの子からそう言われた。

え、なんで?!何か悪いことしたかも…

入学式以来まともに話していない黒髪美少女の生徒会長。あかりとは少しタイプの違う美人だ。例えるなら、あかりは犬、生徒会長さんは猫といった所だろう。
クラスのみんなもひそひそと、なんで柚奈が……と話している。

「柚奈さん、ごめんなさい。少しお時間頂けますか?」

その一言でクラスは静まり返り、全員の視線が柚奈に注がれた。

「も、もちろんです!!今行きます!!」

柚奈は慌てて机の中のものをカバンに詰め込み、足や手を教室の至る所にぶつけながら教室を出た。


「ここなら誰も来ないから話せる…」

誰もいない生徒会室。柚奈の心臓は今にも口から出てきそうだ。なぜ、自分はこんなところにいるのだろう。

「あの……、何か、?私、悪いことしましたか……?」

力を振り絞り出した声はいつもとは全く違う、小さく乾いたものだった。人は緊張しすぎると、こうなるみたいだ。

「柚奈さん、真琴のこと、どこまで知ってる?」

「……えっ?」

間抜けな声が出てしまった。この美少女も真琴が好きなのか……?

「えっと、何も知らないです、生徒会長さんは、真琴の事が好きなんですか?」

「あ、ごめんなさい!まだ名乗ってなかったみたいね、私は大道寺 茜。私が好きなわけではないけど。気になったのよ、柚奈さんが。」

「私が……?」

「いつも一緒にいるから。ごめんなさいね、ありがとう。何も知らないなら大丈夫だわ」

何が大丈夫なのか分からないまま、柚奈は帰ることになった。
真琴と話したい。そう思った。
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