こい

「先に公園の方を見に行ったんだけど、こっちだったね」

一年半振りに会う春之は、やっぱり全然変わってなくて、私が生み出した妄想の結晶なんじゃないかと思えてくる。
結晶は神様に手を合わせてから、喪服が汚れることも気にせず当たり前みたいに私の隣にすとんと座った。

「え?なんで?」

まさか本当に妄想なわけがないから素直な疑問を向けた。

「亜希子おばさんがあいちゃんと連絡取れないって怒ってて」

携帯の電源はあらかじめ切っていたし、母が怒っているであろうことは想定内だった。

「だけどあいちゃんがこういう場を簡単にすっぽかすわけないから、どこか近くにいるんじゃないかなーって探しにきた」

「・・・春之でも長い文章で話せるんだね」

「話さないと伝わらないこともたくさんあるってわかったから」

あまりに春之の態度に変化がないから、あの出来事の方が幻だったんじゃないかと思った。
だけど違う。

「私は春之に話すことはもう何も残ってないんだけど」

「うん」

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