こい
「それで?」
「あいちゃんが思うほど18歳差って小さくないんだよ。普通に年の近い人と付き合って、普通に祝福される方が幸せじゃないかなって思う。まして、遠縁だけど親戚だから」
「考えた結果やっぱり無理ってこと?」
「違うよ。そう思うのに『なんとかならないかなー』って考えてた。こんなに毎日毎日一人の女の人のことを考えたことなかった」
『女の人』って単語だけが耳に残った。
春之は私を『女の人』だと言った。
『女の子』じゃなくて。
「いいのかな?俺があいちゃんを好きだって言っても」
言われた言葉はずっと望んでいたものなのに、心臓がきゅううっと苦しくなった。
嬉しいのか悲しいのか、自分でももうぐちゃぐちゃでわからない。
「春之よりいい人なんていっぱいいるよ」
「うん。やっぱりそうだよね」
「同じ学部内でもほとんどの人は春之より条件いいと思う」
「うん」
「私だって春之以外の人の方がいいって頭ではわかってる」
「うん」
「だけど春之じゃないとダメなの。ダメだったの」
いつでも新しい恋を始めたいと思っていた。
でももう安易に誰かと付き合うつもりはなかった。
恵君みたいに傷つけたくないから。
そうしているうちに時間だけが流れて、私は春之が好きなまま何も変われていない。