同期の彼と私のカンケイ
美奈子たちから「え?」という声が上がり、私も「何をするんですか」ときつめに言う。

それを無視して、彼は私をぐいぐい引っ張っていく。

「話がある」と言って、タクシーに乗せられて連れて来られたのは、いつものシティホテルだ。

ロビーにある巨大なクリスマスツリーも、ホワイトクリスマスの甘いメロディも楽しむ余裕がない。

彼はいったいどういうつもりなんだろう。

ダークブラウンのドアを開けて、半ばさらわれるように入れられた部屋の中、ふかふかクッションの椅子に座らされた。

背もたれに手を突いて私を囲うようにした、険しい顔つきの彼が口を開く。

「紗雪、男とは、どういうことだ」

バリトンボイスでゆっくり言われ、その迫力で身が縮む。

どうしてこんなに怒っているのか。私なんて、大勢の中の一人のくせに。

「男なんていないよ。これから作るの。そのためのパーティに行くの。だから、離して」

「ちょっと待て。男なら俺がいるだろう。何で探す必要がある。紗雪は、俺のことが嫌いになったのか?」

「え……?何を言ってるの?というか、逸樹には私のほかに何人も女がいるんでしょ?私に固執しなくても、他に行けばいいじゃない」

「は!?あーちょっと混乱してきた。頭ん中整理する」
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