明け方の眠り姫
番外:いじめっこ
フランスから戻った僕は、その足でまず花屋カフェFlowerparcを訪れた。
ごろごろとキャリーバッグを転がしながら、店の扉を開ける。
「いらっしゃいま……」
「こんにちは」
僕の顔を見るなりはっと目を見開いた綾ちゃんに、僕は仏頂面で挨拶をする。
マスターはカウンターの中で澄ました顔で会釈した。
さて、確信犯はどっちだ。
僕は借りていた絵葉書を指で挟んでひらひらと見せながら、カウンターに近づいた。
「絵葉書、ありがとうございました」
綾ちゃんが、僕の顔とキャリーバッグを交互に見て、期待で顔を輝かせる。
「フランス、行ってこられたんですね!」