雨友
『あなた、笑わないのね。』

これは私がよく言われる言葉。

どこに行っても、誰に会っても二言目くらいにはこの言葉が飛び出す。

なにも面白いことがないのに、どうして笑わなくてはいけないのか。

物心つくずっと前から『この子、子供らしくないの。笑わないし……』と気味悪がられ、遠ざかられた。

ランドセルをしょって歩く年齢になってビーズやらシールやら香り玉やらを交換するクラスメイトを尻目にいつでも本を読んでいた。

自分でも笑った記憶がないし、これから先も同じだろう。

みんな大嫌い。

でも、同じくらい自分のことも嫌いだった。
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