ブラックドレスに甘い毒牙を隠して…
封がされていないままの封筒からメッセージカードを取りだし開く。
そこには こう書いてあった。
『 里桜へ…
これから受験生だな、俺が教えられることは何でも教えてやる。
でも、がんばるのは里桜だから…
どうしても進路に悩んだら、その時は、
ひとつだけ 解決策がある。
その時がきたら 里桜に教えてやるからな?
それまでは 頑張れ!里桜。
ずっと そばにいるから… 』
「 あ… 綾己っ… 綾己っ…… 」
ずっと そばにいるからって、嘘つき!
いないじゃないっ
綾己の嘘つきっ……
「 里桜さん、泣かないで… ね?」
立っていられなくて泣き崩れた私を 綾己の母親が抱きしめてくれる。
よしよし、よしよし…
優しい手が私の背中を擦ってくれる。
声を出して 泣きじゃくった私は まだ、高校生の子供。
綾己との関係を私が話た後も、何も聞かないで受け入れてくれている母親。
「 綾己は里桜さんを大切に思ってたのよ… 私はね、綾己の大切な里桜さんがこのまま悲しみの中にいてほしくないの…
時間はかかっても、幸せになってほしいから… 綾己だってきっと… 」
私は首を振った。
違う… 私は綾己だけでいい。
幸せなんか どうだっていい!
綾己がいないなら幸せなんかいらないっ
いらない……