ブラックドレスに甘い毒牙を隠して…
綾己が亡くなってから49日…
悲しみは深くなるばかり。
綾己を思うたびに、憂臣が憎い。
怒りや悲しみを憂臣へ向けるしかない私は苦しくてたまらない。
綾己から渡されなかったメッセージカードを抱きしめ ひたすら涙にくれた。
「 里桜さん、この部屋にある物は好きにしてくれていいわ、でもね、ちゃんと前を向いてちょうだい。綾己のためにも 」
「 無理です… 私は、綾己がいないと… 」
「 私も頑張るから、悲しくても頑張って生きていくから… 里桜さんも 」
嫌… そんなこと言わないでっ…
私のために言ってくれてるのは わかる。
でも頷けない。
綾己の部屋は私の気持ちへの踏ん切りにも必要で、綾己の部屋使っていた身に付けられる物や教科書、ノート、ペン、着ていたシャツなど愛用品を私はもらい受けた。
綾己の母親は私に目を潤ませながら謝り、私を家まで送ってくれた。
「 里桜さん、法事がある時は連絡するわね。じゃあ、元気で… 」
「 私!綾己さんが大好きです!月命日にも必ず会いに行きますっ 」
そう言った私に優しい笑みで頷いてくれた。
綾己の生活していた痕跡がもう無くなってしまう。
それでも、目の前で綾己を失った私の心にケジメはない。
日は私に構わず過ぎていく。
綾己はまだ私の心に生きている。
私の心に…
ずっと、綾己がいるの。