ブラックドレスに甘い毒牙を隠して…
黒きドレスの涙…

綾己の住んでいたアパートの部屋は、私が訪れてから一週間後に引き払われた。

私は綾己の母親から前を向いてほしいと言われたが、心が時を刻まない。

変わっていくのは上部だけ。

悲しみを顔には出さず仮面をつけたように 当たり前に過ごす事がどれだけ苦痛なことか…

弥生は何か私の身に起きたと感じてはいても 追求はしない。


そんな私は憂臣と付き合っている。


でも、変わらず玲羅や叶恵が憂臣のそばにいる。

憂臣は今も聞いたり私に囁いたりする。




「 里桜、好きだよ 」



私はそれに答えず笑みを見せるだけ。

キスすらしない私たち。

周りはなぜ付き合っているのか理解出来ないようだ。

玲羅は一番納得がいかず、私に別れてと言ってくる。


そんな中、玲羅の目を盗んで憂臣に告白しようとしている子がいるという噂があると弥生から聞いた。


そしてある木曜の授業が終わって私がトイレから戻ると弥生が駆け寄ってきた。




「 里桜~ ねぇ憂臣くんは?」





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