ブラックドレスに甘い毒牙を隠して…
私は憂臣への気持ちを聞かれて困った。
でも亡くなっていない綾己のことが好きだと言えない。
「 好き… 」
内心 震えた。
親友に嘘をついた言葉が辛い。
でも、私は言わない。
「 里桜… 私さ、あんたが憂臣くんを好きに見えない。ほんとに好きなら 止めてきなよ!憂臣くん、告られるんだよ?止めてきなっ 」
「 弥生… 」
「 ほら、行くよ!」
弥生、ごめんっ…
心にある悲しみの闇は私の心を解放はしてくれない。
図書室に静かに入るが憂臣が見当たらない。
弥生は私にくっつき小声で話す。
「 ねぇ どこにいるんだろ?」
なんとなく、察しはつく。
人には見られない所にいるはず。
あそこしかない…
空気があの時を思い出させる…
私は綾己との大切な思い出のある一角へと静かに歩き出す。
弥生はそんな私についてくる。
絶対にいると確信した時、視界に入った二人に私は息を飲んだ。
後輩らしき女子が 憂臣のネクタイを掴み引き寄せキスをしていた。
そんな場面にタイミングよく出くわした私は フラッシュバックした。
綾己との初めてのキスがまた甦った。
「 里桜っ!?」
「 ちょ… あ、里桜っ!?」
憂臣は私に気づき、弥生もなぜか憂臣にではなく、私に驚いている。
「 ……己… 」
「 え… 里桜? なに、大丈夫? ちょっと!憂臣くんっ!!」
私の頬に涙が伝い流れたことに気づいた。