ブラックドレスに甘い毒牙を隠して…

憂臣に告白した女子はバツが悪く感じたのか すぐに去っていった。




「 里桜~ どうしたの… ねぇ大丈夫だから! 」

「 高須さん、里桜は俺が送るから… 」

「 これ以上 里桜を泣かしたら許さないから!」

「 わかってる、ごめん 」




弥生は憂臣に強く言って 私の鞄を渡した。

弥生が図書室を出て、憂臣は言葉なく涙を流した私の頬に手を添えた。




「 ごめんな、里桜… あれは俺からじゃなくて、その、不意打ちって言うか 言い訳だな… マジでごめん。俺が好きなのは里桜だけだから、信じて 」




私は俯いた。



弥生や憂臣に写る私は きっと 憂臣が私意外の女とキスしたことにショックで泣いたと思ってるに違いない。



でも…

私は違う。


この場所は私にとって綾己との大切な場所。

それを憂臣が私と同じ光景でキスしていたことにショックだった。

思い出を汚されたように思えて…

綾己を奪った憂臣が許せなくて、今 改めて憎いと思った。

溢れてくる涙は綾己を思って流れる。

憂臣にではない。




「 里桜… 頼む、泣くなよ… ごめんっ 」



私は顔を上げ、憂臣を睨むように見つめた。



許さない…




「 俺、里桜に本気で惚れてるから裏切らないって誓うよ 」



そんなの いらないっ…

私は……



私の思いとは反対に真剣な憂臣が涙を溜めたまま睨む私にキスをした。



綾己を… 返して……





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