ブラックドレスに甘い毒牙を隠して…

私は墓石を磨き、花束を添え…

何より 離れがたい気持ちになる。




「 里桜さん?」

「 あ、お母さん…… 」

「 久しぶりね。綾己のために来てくれてるのね、ありがとう 」




月命日とはいえ、なかなか 綾己の母親と会うことがなかった。

久しぶり顔を見てホッとした…




「 キレイになったわね、里桜さん 」




墓石前にしゃがみ手を合わせて 私に向き直ると、にっこり微笑んだ。




「 ご無沙汰しています 」

「 里桜さん、今どうしてるの? 結婚は?」

「 結婚なんてしません… でも、元気ですよ。こうして綾己さんに会いに来るのも日課みたいです 」




何かあると 月命日に関わらず 綾己に会いに来ていた私。

弥生はもちろん、玲羅、叶恵とも普通に交流している。

弥生は高校を卒業してから大学へ進んで彼氏の耀とは今も続いている。

玲羅は大学でもモテ女で彼氏が出来ても飽きるとフッてしまう。

叶恵は片想い中。

綾己の母親と色々話ながら 今でも綾己を思っていると素直に伝えた。




「 里桜さん、私は綾己の分まで幸せになってほしいわ。ね? 」



お母さん…

でもね、私は今もあの頃と変わらず思ってるの…


綾己が好きなの。


大好き… 私の気持ちはずっと、綾己だけ。


誰にもわかってもらえなくていい…




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