ちゅるちゅる......
大学の帰り......___。

俺はあの女を恐れ、帰りを遅くしていた。

でも、あの女はいた。

俺の帰りを待っていた。

「カケル......クン...ダヨネ...。マッテタヨ...」

「あ......」

俺はそのくぼんだ瞳に覚えがあった。

「羽深......?」

俺がそう呼んでやると、女の肩がぴくりと震えた。
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