電車でふたり
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いつも早めの時間帯に家を出る。

徒歩20分の最寄り駅まで歩いて、そこから電車で学校近くの駅まで行くのだ。


駅に着いて、ホームまで降りる。すっと頬を通り過ぎる冷たい風に体を震わせた。さすが、12月だ。

ちょうどタイミング良く、駅員さんのアナウンスが入って電車の到着を告げられる。


ほんのしばらく待つと、金属と金属の擦れる音と共に電車が目の前で止まった。


ホームには人はほとんどいない。

私だけが3番列車に足を踏み入れて、電車に乗り込んだ。


いつもの通り、人はほとんどいなかった。

全員が昨日とほぼ同じ位置に座っている。見慣れた光景が目の前にある。


「おはようございます」


私は人1人分だけ開けて、ある人の隣に腰を落とした。



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