ネガティブ女子とヘタレ男子

『友達とは。勤務、学校あるいは志などを共にしていて、同等の相手として交わっている人。友人。』

好きな子と友達にーーー。

小学であんな関係だった俺達が、今さら友達になろう。で、なれるものなのか…。疑問がたくさん生まれる。ましてや、彼女は俺の事を怖がっているのに…。

「…無理だと思う。俺が爽ちゃんに友達になってください。なんて素直に言えねえよ。」

「ツンデレだもんな、暮人は。」

それに、彼女のトラウマを作ったのは俺だ。そんな俺が、素直に言えた所で爽ちゃんから「良いよ。」なんて言ってもらえるわけがない。

自分で掘った穴に、どんどん溜まっていく後悔。過去の自分が本当に馬鹿だったんだなと、肩を落とした。

「…お前だけじゃ無理かもしんねえけど、俺と一緒ならどうだ？それに、確か噂じゃ風深さんも仲の良い友達居ただろ。その人とも仲良くなって、四人で接点を作るとか。」

「お前天才かよ。それなら二人じゃないから怖がられないし、遊びにも誘いやすいし。恥ずかしくなって変な行動をする事もない！めっちゃ良いじゃん！うわ、ありがとう天。なんかやる気出てきたよ。」

「見るからに元気取り戻したな、お前。つか、どんだけヘタレなんだよ。何、変なことって。お前風深さんに何か変なことした前例あんの？」

「わー！無い、無いって！あるわけないじゃん。ぉ、俺は…ふ、普通に再会をだな…。」

「喜んだ結果壁ドンして質問攻めしたあげく無理矢理DIME聞いたのか。」

「何で知ってんだよ！」

「詳しくは、『ネガティブ少女とヘタレ少年』の五ページからご確認ください。」

「番宣ついでにメタ発言すんな！」

天の考えた作戦を深く練りながら、また本題と関係のない話題が飛び交う。いつもからかってくるコイツは、自分の事は話さないくせに、お人好しだから人の事に一所懸命に手を貸す。優しさが捩曲がっていても、イケメンと言うフィルターは強力で、コイツのこんなところを知る人は少ないだろう。

朝から居座っていた俺は、昼御飯までご馳走になり気づけば夕方。そろそろ帰らなきゃなと思っていた頃に、天の携帯が鳴った。

「もしもし。うん、どうした？うん…うん。あー俺も友達来てるから。ん、じゃあそーしよ。ははっ、まじか。了解。ちょっと待ってて。」

日頃は絶対にしない嬉しそうな笑顔。電話の主は女性のようで、少しだけ聞こえた声は高かった。

「何だよお前、彼女いたの？」

茶化すように言えば、違う。と一蹴りして否定された。

「隣の幼馴染みだよ。今日の飯、あっちも友達来てるらしくてさ、なら皆で外食しようってことになったから。お前も行くだろ？」


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