ネガティブ女子とヘタレ男子

四人で晩御飯


肯定を示すために俺が頷いたのを確認して、天はまた携帯を耳に当てた。通話が繋がっていたのか、また天は嬉しそうな顔を浮かべて通話に集中する。

「…おう。え、マジで?ふは、お前で大丈夫かよ。はいはい、俺も友達も結構食うから…うん。そうして。………んー…なんでも食うと思う。俺の作ったものも食えるし。おう、じゃあそっち行くわ。…ん、了解。またな。」

(思った通り、そうとう幼馴染みの事好きなんだなぁ、コイツ。)

天の事を紹介するとき、人が良いとはよく言うが、人に興味がある奴かと聞かれればそれは多分否定できる。それほどコイツは好きなものにしか興味を示さない。

だから学校で人気のある爽ちゃんの事でさえ、実物を見ても興味なし。俺の好きな相手だからなのか、とも思っていた時はあったけど…。実際は多分、幼馴染みが好きだから何だろうな…。

電話を切った天は、外食から手料理になったと教えてくれた。相手の事を知らない俺がついていって良いのかと問えば、ニヤついた笑みで肯定された。

ーーー驚くなよ。

そう一言付け加えて。

財布も携帯も天の部屋に置いて、二人身一つで隣の家を訪ねる。女の子の家だからか、外観から凄く可愛らしく思えた。

「驚くって、どういう事だよ?」

「まー黙って待っとけって。」

玄関の前でチャイムを鳴らず。
ピンポンと響いたインターホンから、「はい。」と女の子の声が聞こえた。

「"チィ"。」

天はそれに一言だけ答える。真っ暗だった玄関に明かりが灯れば、ガチャリと軽い音で扉が開いた。



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