ネガティブ女子とヘタレ男子
弱さと強さ

弱い者の選択


二週間前。
千秋ちゃんの家で蒼野くんや、暮くんと話した。あの時、千秋ちゃんからは幼馴染みとその友達が来るからとしか聞いてなかった私は、まさか暮くんが来るなんて思ってもなかった。

「はじめましてをしよう。」と千秋ちゃんが提案した自己紹介。皆が和気藹々(わきあいあい)と自己紹介を続ける中、私は間違えてしまった…。



ーーー千秋ちゃんに、暮くんとの話をすることができなかった。



私が隠した事に怒ったのか、知らないフリをしたから怒ったのか…どちらにせよ、怒った暮くんは突然帰って行った。

一度も私を見ずに立ち去る暮くんの後ろ姿、それを追いかける千秋ちゃん。楽しかった時間が、私の言葉からボロボロと崩れていく。

千秋ちゃんにあの時の事を説明しようとしても、あの日から彼女が私の側に駆け寄って来てくれることは無くなっていた。

一人ぼっちになってしまった私の周りには、へらへらと寄ってくる男の子さえ、今はいない。

千秋ちゃんがいたからこそ、私の周りには人が集まっていた。口下手な私だけだと会話にもならない事を悟った男の子達は、窓際で座る千秋ちゃんの側へと我先に集まっていく。女の子達も、媚(こび)を売る子はいても、明らかに影でこそこそと言う子の方が増えていた気がした。

(大丈夫。昔の私に戻っただけ。)

小中で慣れてしまった学校(檻)の中での空気。どんなに可愛く偽(いつわ)っても、内面が変われていなければ結局結果は同じだった。

そんな私を友達と呼んでくれた彼女でさえ、私は自ら失ってしまったーーー

夏休みまで残り一週間。

長期休みに入ってしまえば、文化祭の準備もはじまりさらに千秋ちゃんと話ができなくなってしまう。

それを恐れていても、内気な心は教室から離れる事でしか安寧(あんねい)を築けなかった。



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