ネガティブ女子とヘタレ男子
三時間程仮眠をとった天は、気持ち良さそうに体を伸ばす。天が寝ている間、ずっと目が点になっていた俺は、座椅子の上で膝を抱えていた。
「なにお前暗い。」
「いや、お前が…。」
「まだ言ってんのお前。寝る前になにも言ってねえし、記憶にねえし。もし言ってたらどんなこと言ったのか教えろって言ってもヘタレくんが嫌がるし。」
「自分で口にするのが凄く嫌。」
「ヘタレめ。それより、俺の作戦そろそろ聞いてくれよ。皆笑顔で居れる、四人で居れる様にできるかもしれない作戦。」
「かもって。」と、暗い俺は鼻で笑う。でもまた爽ちゃんの笑顔が見れたら幸せだろうなとか、爽ちゃんと千秋ちゃんが仲良くしてくれたら嬉しいなとか考えて、抱えていた足を下ろし座り直して話を聞いた。
簡単に言えば、一つずつ蟠(わだかま)りを消していこう。と言う安直な作戦。
だが、夏休みが終わればあっという間に文化祭。
夏休み中も、来週からはずっと文化祭の準備で学校にいく時間も増えていく。始まった夏休みを文化祭の準備で潰す分、出される課題は少ないのだが、初めての文化祭に心踊らせて舞い上がっている奴等は、きっとその課題の事さえ忘れているかもしれない。
「暮人、課題写させて。」
「自分にでやれ。」
「親友だろ!」
「宿題は自分でするものって習っただろ!」
目の前の親友のように。
肩を落とす天に少ないから一緒にやろうと、また会う約束をする。その間にも、さっき天が話した作戦をどう実行するか頭を動かしていた俺は、うーんと唸(うな)り首を傾げる。
「って言うかさ、俺と千秋ちゃんの事って時間が解決してくれるもんじゃん。それはどうすんの。」
「告白された方が普通に接してやればいいんだよ。今のお前らって端からみても『何かありました、気まずいです。』って分かりやすいんだよね。それに、チィの取り巻きの多さな。それで話しにくいってのもあるし。だから、俺と一緒にチィに話しにいこう。そこでお前が今まで通りでいてやれば、チィも自然と笑ってくれるよ。」
「笑ってくれるかな。」
「この天才が考えたんだから当然だろ。」
「…ん、そうだな。」
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