ネガティブ女子とヘタレ男子

こんな他人事のように話してる俺も、アイツらからすると変化したのかなーーー

一緒に走り回っていた男勝りな彼女が、傷つかないように側にいて離れなかった。

彼の間違った感情を、正してやれなかった。

傍観者気取りで遠巻きに二人を見守りながら、アイツらが俺から離れないようにしっかりと手綱を握っていた。

(そんな俺を"アイツ"が知ったら、何て言うんだろうな。)

「てんちゃん?」

「ん…悪い、ぼうっとしてた。」

自嘲するように鼻で笑って、飛んだ思考を目の前に戻す。

律儀に待ち続けていた大樹は、笑顔をのままだった。

「…お前、チィが好きなんだろ。何でチィのお気に入りを取るんだよ。チィが知ったら怒るぜ。」

「チィちゃんのお気に入りだからだよ。」

「はは、またいつもの"ヒーローの隣はヒーローのみ"って言うお前理論?」

「彼女の弱さはチィちゃんを変える。……俺はこのままの関係を変えたくないんだ…それには、爽の弱さは邪魔。だから、適材適所(てきざいてきしょ)で俺が側にいてあげてるんだよ。彼女は、孤独から抜け出したいだけなんだから。」

「チィが変わるって…なんの根拠が、」

「てんちゃんだって気付いてるでしょ。彼女と出会って、どんどん大人になるチィちゃんを。俺より側にいたんだ…知らないなんて言わせないよ。」

「…チィが変わろうと、俺達はずっと三人だよ。」

「そんなことない…二人は、俺を残して離れていくじゃないか。風深爽と柊暮人が関わって、二人はずっとアイツらにとられたままだ…三人で良いじゃん。ずっと三人で…ね?俺には、二人が必要なんだよ…。」



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