ネガティブ女子とヘタレ男子
私らしくない言葉が、口から溢れだしていく。それはきっと、今まで抑えてきた気持ち達で。私はこれ等全てを押し込んで来たんだと実感する。
(だって、重くて苦しかった胸が言葉を紡げば紡ぐほど軽くなっていくんだもん。)
ネガティブ思考はすぐに直せなくても、こうやって抑えてきた気持ちを言葉にするだけで私は進めた気がする。
今まで無かったスッキリとした気持ち。
ダメだダメだと押さえつけていたものを、一つでも誰かに認めてもらう。それだけで人って変われるんだね。
「君や、チィちゃん達以外にも認めてもらえるかな。」
「…分からない。だけど、少なくても味方がいるよ。」
「…ネガティブな君から、ここまでポジティブな言葉を聞けるなんてね。」
「私もビックリしてる。千秋ちゃんって、やっぱり凄いね。」
「当たり前でしょ。俺のヒーローなんだから。」
繋いだ手の震えが止まる。
私達はそれを確認して、改めて握り直した。目と目が重なれば、自然と笑みが溢れる。
(きっと、もう大丈夫。)
「爽、好きだよ。ありがと、俺の我儘を理解してくれて。」
「大樹、ありがとう。私を一人から救ってくれて。」
これから大人になっていって、色んな人に出会ったとしても、私と大樹のような人に出会える確率は何万分の一にも満たないだろう。
仲間とも呼べない、一ヶ月という弱くて短い関係。
そこに愛が無くても、情はあった。
他人に理解されることの無い私達の関係は、今日ここで終わる。それでも、きっと私達はまた求め続ける。強くなるのって、そう簡単になれるはずがない事は、私達が一番よく知っているもの。
だから、また間違えた時は話し合おう。
二人で無い答えを探そう。
「フラれたら慰めてあげるから、いつでも返っておいで。」
「うん。大樹も、千秋ちゃんを泣かせちゃダメだよ。」
「はは、了解。」
それが私達、弱者の答えだと思うから。
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