ネガティブ女子とヘタレ男子

「千秋ちゃん達居ないね。もう校内入っちゃったのかな。」

焼そばの屋台から離れて天達を探しながら歩く。その間にも、爽ちゃんの周りに出来る人だかりは凄い事になっていた。

写真をお願いする人や、握手をする人。悪いタイプはナンパしてくる奴までいるから困ったものだ。

優しい爽ちゃんはそれにも気づかず、「美コン出場者だからかな。」なんて笑っていた。それさえ可愛いのだから爽ちゃんを囲いたくなる気持ちも分かる。

だけど、これじゃ二人きりになるどころか天達さえ見つけられない。

昼時と言うこともあって、屋台ブースの所に人がいるのは当たり前だった。それを考慮出来てなかった俺が悪いと肩を落とせば、爽ちゃんが裾を引いて耳を貸してと言ってきた。

耳だけ爽ちゃんに近づければ、

「もう少し二人きりになりたかったね。」

と、可愛い言葉が囁かれた。

「爽ちゃん…可愛すぎかよ。」 

「く、暮くん…?」

突然崩れ落ちて悶える俺を心配する爽ちゃんもまた可愛いかった。



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