【完】朝食は、遅めにランチで。
こうして手を繋いで歩いたのは、本当に久しぶりだった。
お互いが大学生の頃。
付き合ってしばらくの頃はこうして手を繋いで歩いたものだけれど、お互い就職して忙しくなって、一緒に暮らすようになって隣にいるのが当たり前になって。
手を繋がないで歩くことも、大人になるとともに当たり前になって―――。
「なんだか久しぶりだね、手繋いで歩くの」
「うん。あ、さおちゃんの手だんだんあったかくなってきた気がする」
「ノブ君の手があったかいからね。相変わらずめっちゃ代謝いいよね」
ノブ君のゴツゴツした手に包み込まれてしまったちっちゃな私の手は、少しずつ汗ばむ。
けれども、ノブ君はそんなことを気にしない。
「ねえ、それよりどこいくの?」
「ん?いいホテル見つけたからそこに行こう。ここからタクシーですぐだよ」
「え!?元から予約してたホテルは?」
「そこはさっきキャンセルしておいた」