お姫サマの暴走
――バタンッ
「蓮哉――!」


突然玄関のドアが開いて、聞きなれた声が耳に届いた。


オレと日向はベッドの上で固まったまま、そちらへ視線を向けた。



「あっ! ごめんっ」


そう言って、慌ててドアを閉めたのは


律子さんだった。



――なんで鍵かけとかなかったんだろう……。


自分のアホさ加減を後悔しつつ、体を固まらせたまま玄関ドアを見つめていると


もう一度ドアが遠慮がちに5センチほど開いた。


「ごめんねぇ……。まさか朝からなさってるとは……。おじゃましました~」


なんて声がドアの隙間から聞こえ、またドアが閉じられようとした。


オレは慌ててベッドから降りると玄関先にダッシュで向かった。


そして閉じかけたドアに手をかける。


「いやいや。なさってないっつーの」


ハハハ……なんて苦笑いしつつ言い訳してみる。

いや、今さら言い訳にもなんねーか。
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