お姫サマの暴走
「お前、何やってんの……?」


「んー?」


日向は顔も上げずにケータイをカチカチ触ってる。

すでにベッドからは降りて、床に座って熱心にケータイ画面を見つめてる。



「メール?」

でもしてんのかなぁ……なんて思って尋ねる。



「ああっ! 話しかけないでっ!」


相変わらずこちらを見ようともせず、ありえないぐらいのスピードで指を動かしている。


なんとなく、イヤ~な予感がする。


「何やってんの?」


オレは再度尋ねてみた。


「ダメだってば! 今、すっごい良い物語が浮かんだのっ! 忘れないうちにプロット書いちゃおうと思って! だから話しかけないでっ! あーん……忘れちゃうよぉ……」


あのぉ――もしもし?


オレはどうすりゃいいんでしょうか……。

その気にさせられたオレは……いったい……。

(男ならわかるでしょ? この切なさたるや……)

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