秘密 ~ホテル・ストーリー~
「ホテルにチェックインして、先に会場見に行かなくちゃ」

「うん。そうだね。そうした方がいいね」

今度は、亮平の言うこと何も疑わずに言うことを聞いてしまう、未希の素直さが気にいらない。
人の言うことを信用しすぎるな。亮平は彼女のことを、いちいち考えないことにした。

ホテルは展示場の近くのホテルで、普段は、安いビジネスホテルと決まっているのだけれど、展示場の近くにそういうホテルがなかったから、特別に高級ホテルにしてもらえた。

「すごいんだねえ」
いちいち感心して答える未希に、付き合ってる男に連れて来てもらったことないのかよと言いそうになった。

「中田君、彼女と来たことある?」
「ないよ。こんなとこ」
「そうなんだあ。中田君、格好いいから誘ってみたらいいのに」
「うるさい」

ホテルに荷物だけ預けて、展示場に向かう。
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