奇跡? ペア宿泊券と強引な天敵課長
03 クリスマスはお姫様
あれから二週間。イヴ当日。
私の気持ちを代弁するかのような、黒く寒い雲に覆われた空。
本当、溜息が出る。
課長は休みだったが、私は予定通り出勤し、仕事を終え、メールを打つと『会社地下駐車場』と短い返事があった。
向かうと、エレベーターを降りたところに、濃紺&白のミニクーパーが停まっていて、その前に課長が立っていた。
「荷物はそれだけか」と小さなボストンバックを後部席に置くと、何故か助手席側に回る。
エッと思っている間に、ドアを開け、慣れた様子でエスコートする。
こんな風にお姫様扱いされたのは生まれて初めてだ。
ドキドキする。
「課長って、けっこう紳士だったんですね」
照れ臭くて、課長が運転席に座るや否や、冗談混じりに言葉をかける。
「相変わらず失礼な奴だ。俺は高校までイギリスで育った。エスコートするのは当然、という教育を受けた」
ヘー、知らなかった。
社内の噂話で、三十五歳、独身、美麗な容姿でエリート街道まっしぐら、くらいなら知っていたが……。
そうか、英国紳士か……なるほど、モテる筈だ。
私の気持ちを代弁するかのような、黒く寒い雲に覆われた空。
本当、溜息が出る。
課長は休みだったが、私は予定通り出勤し、仕事を終え、メールを打つと『会社地下駐車場』と短い返事があった。
向かうと、エレベーターを降りたところに、濃紺&白のミニクーパーが停まっていて、その前に課長が立っていた。
「荷物はそれだけか」と小さなボストンバックを後部席に置くと、何故か助手席側に回る。
エッと思っている間に、ドアを開け、慣れた様子でエスコートする。
こんな風にお姫様扱いされたのは生まれて初めてだ。
ドキドキする。
「課長って、けっこう紳士だったんですね」
照れ臭くて、課長が運転席に座るや否や、冗談混じりに言葉をかける。
「相変わらず失礼な奴だ。俺は高校までイギリスで育った。エスコートするのは当然、という教育を受けた」
ヘー、知らなかった。
社内の噂話で、三十五歳、独身、美麗な容姿でエリート街道まっしぐら、くらいなら知っていたが……。
そうか、英国紳士か……なるほど、モテる筈だ。