ピュアな瞳
「俺、中2の終わりにお袋亡くしたんだ。」

「えっ…?」

芯君、お母さんいないんだ…。


「凛にだから言うけどさ、俺すっげーお袋のコト好きだったんだよ。いっつも優しくてニコニコしてて。しかも美人で…。それで、唯一俺に嘘をつかない人だったんだ。もちろん、親父も嘘付かないけどめったに会わないからさ。」


あたしは、黙って芯君の話に耳を傾けた。


「でもさ、お袋…俺が立派になるまでは死なないとか言ってたのに、病気で呆気なく死んじゃったんだ。俺にお袋がついた唯一の嘘…。まだ、俺、立派になんてなってないのにさ…。」

そう言って、芯君は遠い空を見つめた。


「…芯君。」

「そっからは、さっき話した通り。ごめんな、凛に嫌な思いさせて…。」

芯君…。

あたしは、ぎゅっと芯君に抱きついた。
体が勝手に動いていたんだ。
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