私のご主人様

あ、話を戻して戻して…。

陣之内家に仕えているとはいえ、ザ・庶民の私が香蘭学園に通えているかというと、奥様の計らいでもある。

それをちゃんと話すには、私が陣之内家に仕えることになった経緯を話さないといけない。

私の家は父子家庭です。お父さんは陣之内家の当主、つまり正裕様のお父様付きの執事兼、秘書として働いています。

決して貧乏ではない。でも、職業が少し珍しいだけで私とお父さんは一般人、庶民だ。

だから、当然県内の公立の学校に通うつもりだった。小学校も、そうであったから。

でも、小学校の時はお父さんは帰ってこれないことも多く、1人きりで過ごす時間が多かった。

そんな状況を見かねた旦那様が、いっそのこと私も雇うと言い出して、中学に入ると同時にお掃除のお手伝いに呼んでいただいた。

メイド長さんについてお仕事していた…のですが。

『あら?あなたは?』

『こ、琴葉ともうします。み、宮内の娘です』

『え?うっそー!?宮内にこんなかわいい子がいたの!?』

『っ!?』

抱きつかれた。ナンデ?

固まるしかない私にお構いなしな奥様。メイド長さんは呆れ顔。

『奥様、はしたないですわよ』

『ねぇ、この子私にちょうだい』

…んん!?ナニガドーナンテルノ?
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