私のご主人様
「みなさん!まだお帰りになるのは早いですよ!ここで我々からサプライズ商品をご提示いたします!!本日最後のメインイベント!お財布に余裕のある方は是非ともそのまま!」
不意に聞こえてきたバカでかい声に、喧騒がやむ。
さっきまでのざわつきが嘘のように静まり返っていた。
「っ!?」
「暴れるな。挟まれる。そのまま」
急に動き出した地面にバランスを崩すと、背後にいた男に肩を掴まれる。
徐々に上へ上がって行く。ガタンっと音を立てて止まると、男に背を押され、3歩だけ前へ進み出た。
心臓がバクバクと音を立てる。息が上がる。
怖い。この布の向こうに何があるのか、見たくない。
「お待たせいたしました!本日最後の商品はこちらです!!」
さっきよりもずっとはっきり聞こえた声。
その声を合図に、頭から被せられた布は意図も簡単に取り払われた。
その瞬間、強い照明に目が眩む。何度かまばたきをして、視界が戻ってくると、目の前に広がった光景を写し出した。
人、人、人…数えきれないほどの人が、このホールを埋め尽くしている。
そのほとんどは見るからに怪しげな男たちで、若い者20代。年長者だと70は越えていそうだった。
これだけ多くの人が、人を買おうとして集まってきた人たちなの…?
想像以上の大観衆に、頭が真っ白になる。