私のご主人様
会場は静まり返る。メインイベントとして出された“商品”を値踏みするかのように、視線が突き刺さる。
「まだ高校入学前の15歳!残念ながら、生娘ではありませんが、場数は1回。しかも、襲われてという形。つまり、白いキャンパス!あなた好みの女に育てるにはこれ以上にない、貴重な商品でございます!」
会場の空気が変わった気がした。向けられる視線が、欲が、強さを増して突き刺さってくる。
「100万から始めますっ!では、どうぞ!!!」
「200万!」
「250万!!」
「300万だ!!!」
合図を皮切りに、会場が怒号に包まれる。
どこからか聞こえてくるとも分からない金額が、あり得ないスピードで膨れ上がっていく。
あり得ない。本当に、ここは人を買う場所なんだ。
分かっていたはずなのに、目の前に突き付けられた現実を拒否するように視界が歪む。
私の意思とは関係のない場所で、私の値段が決まっていく。
「2500万!」
「ッチ…2600!」
我に返ると、あれだけの喧騒に包まれていたはずなのに、今ではすっかり静まった。
大観衆で立ち上がっているのは2人だけ。
1人は30代後半くらいの高身長の、清楚感のある男。もう1人は、まるで真逆の、小太りで、不摂生な男。
この2人の一騎討ちなのか、回りの観衆は息を潜め、この対決を見守っているようだった。