私のご主人様
静まり返った会場。
小太りの男が荒々しく席に座り、敗けを認める。
そして、高身長の男もまた、腰を下ろした。
入札者は1人を残して消える。それが、落札の合図。
静まり返った会場に響き渡る鐘の音が、この取引を締めくくる。
「1億5000万での落札で決定いたしました!!皆様、本日はありがとうございました。是非次回のご参加も心よりお待ちしております!!!」
司会の男の目は血走り、その顔は嬉々としたもの。
ぞろぞろと席を立ち、会場を去る者たち。その波をかき分け、舞台上に上がる。
舞台の中央で、背後に立つ男に体を支えられている女は意識を失ったまま。 離れていてもその顔の青白さが分かる。
「お客様、商品の受け渡しは…」
「今すぐ寄越せ」
ニヤついた顔を抑えきれない司会者が近づいてくる。言葉を遮るとその顔に少しだけ冷静さが戻る。