私のご主人様
「………!!」
あれ、声が…。喉に手を当て、叫ぼうとしても口からはなにも音が出ない。
…声が、出せない。どうして、さっきまで確かに出てたのに!!
しゃべっているつもりなのに、口はパクパクと形を作るだけ。音が全く出ない。
「…声が出ないのか?」
「…コク」
なんで?なんで声まで出なくなっちゃうの?髪の毛だけでも大分ショックだったのに…。
うつむき、唇を噛み締める。
どうしよう。こんなの、欠陥品だと思われる。また、売られたらどうしよう。殺されたら…。
考えるだけでも体が震える。震えを押さえようとして、腕をどれだけ強く握っても、震えを押さえることはできなかった。
「安心しろ。売りはしない。まぁ、お前の仕事能力次第だが」
「…!」
「声が出ないくらいなら、別に仕事に支障はないだろ」
仕事って…。やっぱり、そういうことをするってことなのかな。
はは、分かってるつもりだけど、嫌だなぁ…。