私のご主人様
逃げるな!
「…ん」
「琴音ちゃん、大丈夫?」
「…」
あれ。私床で寝てたんじゃ…。
寝ていたのは布団の中で、タブレットを触ってる奏多さんがいた。外は明るい。…日付変わってるみたいだ。
起き上がろうとして、やけに動きやすいことに気づく。…単になってた。
「!?」
「あ、ごめん。寝苦しそうだったから脱がせちゃった。ごめんね、女手なくて…」
申し訳なさそうに眉を下げる奏多さんに首を横に振る。もとは私がそのまま寝ちゃったのがいけないんだ。
奏多さんはなにも悪くない。
すぐに立ち上がった奏多さんは着替えたら教えてねと言って一旦部屋を出ていってくれた。
すぐに起き上がって着物を着る。お風呂入ってない…。後でシャワーだけ借りよう。
とりあえず簡単に着といて、廊下に顔を出すと奏多さんは壁に背を預けていた。
「あれ。早いんだね。ご飯食べてないでしょ?ほら」
渡されたのはおにぎり。でも、食欲が全然ない。食べたいって思わないし、むしろ吐き気がする。
首を横に振ると、困ったように奏多さんは笑う。