私のご主人様
「琴音ちゃん、昨日もなにも食べてないでしょ?食べてくれなきゃ、俺たちも心配だから。ね?」
「…」
食べたくない。首を横に振ると、奏多さんはため息をついて、分かったとおにぎりは引っ込められた。
タブレットを渡されて、シャワー浴びたいと書いて見せると、もちろんって了承してくれる。
着替えを持って(何故かタンスの中にあった)、奏多さんについて行くと、昨日私が覗いたお風呂じゃなくて、家庭サイズのお風呂だった。
「ここは女の子用なんだ。シャンプーとかもし好きなのあったら頼んでいいって、季龍さんから伝言。ここで待ってるからゆっくり入っておいで」
『逃げたりしないから、大丈夫です』
「ううん。待ってる。それが俺の仕事だから」
待ってるって、4月とはいえ、こんな寒い場所で待たせたくないよ…。
とにかく急いで中に入る。念入りに体を洗って、すぐに出た。全然温まれてないけど、そんなの気にしてる場合じゃない。
すぐに着替えて外に出ると、奏多さんはビックリした顔で私を見る。
「湯船入ってないでしょ?なんで入って来ないの」
「…」
「…言い方がきつかった。ごめん。でも、琴音ちゃん、ちゃんと温まって。昨日言ったよね。不自由させたくないって、季龍さんの意思だって」
「…」
「…琴音ちゃん、確かにキミは買われた。でも、俺たちにとっては琴音ちゃんはもう家族の一員なんだ。だから、琴音ちゃんに我慢してほしくない。だから、遠慮しないで」