私のご主人様

『キミが琴葉?』

お坊っちゃまにはじめてお会いしてたのは、学校に行くときだった。

漫画の世界と同じように高級車での送迎されていたお坊っちゃま。どこかつまらなさそうな顔をしてると、初対面のお坊っちゃまに失礼なことを思ったのは秘密だ。

『はい。お初にお目にかかります。お坊っちゃま』

『…母さんから聞いてる。一緒に行くか?』

『ッいいえ。とんでもございません。お坊っちゃまと同席するなど…』

『職員室分かるのか?』

『…っう゛』

知るはずがない。

なんとかいいわけを探そうとしていると、お坊っちゃまが笑ったような気配がした。

『乗れ、琴葉』

『っ~しかし』

『僕に遅刻させる気かい?』

『…お願いいたします』

見事に負かされた。

内藤様運転の車の助手席に同席させていただきました。

しかし、このような失態、これ以降1回もありません。今はちゃんと歩いて登下校しています。
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