私のご主人様
「ッチ面倒かけさせやがって」
「季龍さんには言うな」
「はぁ!?なんで!!」
「いいから。今回は俺の監督ミスだ。いいな、暁」
「それは無理だよ。奏多」
突然入ってきた声に奏多さんも暁さんも弾かれたように振り返る。
そこにはもう1台の高級車が止まっていて、運転席から降りてきたのは伸洋さんだった。
「伸洋さん…」
「若、そこにいるし」
「え!?」
伸洋さんが指差した車の後部座席の窓が降りる。そこには、険しい表情を浮かべた季龍さんがいた。
奏多さんと暁さんが頭を下げる。
季龍さんに視線を向けることができず、視線をそらした。
「奏多、ここちゃんちょうだい」
「え、でも…」
「お説教は若にされた方が、ここちゃんも身に染みるでしょ?奏多、ここちゃんにどうも甘いみたいだし?」
「…」
「ほら、ここちゃんちょうだい。奏多」
「はい…」
奏多さんの服をつかむと、伸洋さんの手が止まる。
季龍さんのとこに連れてかれるのはやだ…。