私のご主人様

「!??」

「何やってんだよ。奏多さん」

「え?」

「そんなことしなくていいから。ったく、手当ての仕方知らないくせにやらないでよ」

暁さんの言葉に、奏多さんは硬直した後、無言で離れていくと、部屋の隅で丸くなる。

「う~」

「…」

「足上げろ。めんどくせぇ」

奏多さんを全力で無視する暁さんは、私の足を取ると、さっきの続きと言わんばかりに消毒液をかけられた。

余分な分はタオルで拭き取られ、まだ血がにじむのを見ると、新しいガーゼを当て、器用に包帯を巻き始めた。

「!」

きれいに巻かれた包帯に思わず感動する。すごい。私より上手だ…。

「左足も出せ」

感動していると、左足も取られ、同じように手当てされる。

両足共にきれいに巻かれた包帯。救急箱を片付ける暁さんに、お礼が言いたくて床にタブレットに手を伸ばすと、その手を掴まれる。
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