私のご主人様
用具をかばんに詰めて、少し早足で教室を出る。
昇降口から外に出て、まっすぐ進んだ先にある校門に向かって歩き出す。
下校時間だというのに、正門から出ていく生徒はほんとに一握りです。
なぜかって?そりゃもちろん、お迎えがあるからでした。
この香蘭学園。送迎用の駐車スペースがあったりする。そこは正門とは違うところにあるので、正門から出る人はほとんどいません。
ある意味助かるけど、お坊っちゃまたちはすごいなぁと感心してしまう。
まぁ、私には関係ありません。
正門から学校をあとにして、陣之内家に直行します。
実はこれはのちのち分かったことなのですが、学校から陣之内家は徒歩の方が早いのです。
と言うのも、徒歩で行くと路地やら公園やらを横断してショートカットできるのですが、車だと大通りなどを行くため大回りすることになるんです。
なので、徒歩で5分、車では10分ほどかかってしまうという、なんだか変なお話です。
そんなわけで、今日も路地やら公園を横断してやって来ました陣之内家。
西洋風の建物で、大きな玄関の前にはお坊っちゃまの帰りを出迎える、お坊っちゃま付きの使用人が並んでいます。