私のご主人様
暁くんは、そっぽを向いて段ボールを中身の入った段ボールを近くに持ってきてくれる。
本当だ。表面上はツンツンしてるけど、暁くん優しいんだ。
「ん?暁、お前ここちゃんの言いたいこと分かるの?」
「…唇の動きで分かります」
「え、すっげ。読唇術じゃん。どこで覚えたんだ?」
「…」
暁くんの言葉が不意に途切れる。聞かれたくないことなのかな…。
「伸洋、やめろ」
「へー」
季龍さんの一言で伸洋さんは引き下がる。やっぱり何かあるんだ。
でも、それに私は踏み込むべきじゃない。黙って大量の荷物から欲しいものを抜き出すことに専念した。
「これで全部か?」
「コクコク」
結局残ったのは段ボール3つと少し溢れた。奏多さんは大量の返品物を少し悲しげに見つめていた。
「奏多さん、勝手に注文すんの禁止。これ返品やっといてください」
「はい…」
多分注文表を渡している暁くん。その注文表には赤線が引いてあって、返品しないものなんだと思う。