私のご主人様

「で、部屋戻んの?」

「…“せっかく来たので台所だけちょっと片付けます”」

「どれ、持ってく」

台所用の洗剤とスポンジ、透明のごみ袋を引っ張り出すと、それを奪い取られるように取られる。

そのまま部屋を出ていく暁くんの後を追いかけようと立ち上がるけど、走った痛みに体が固まる。

忘れてた。足の怪我…。

うぅ。壁づたいに行こう…。

「琴音ちゃん捕まえたっ!」

「!?」

奏多さんにひょいっと抱き上げられる。恥ずかしいから嫌なのに…。

そのまま抱き抱えられて台所まで来ると、暁くんが台所の惨状を見て顔をひきつらせてた。

「ひっでぇ」

「琴音ちゃん、何からやるの?」

あれ?手伝おうとしてる…?

首を横に振って、タブレットに打ち込む。

『私の仕事なので1人でやります』

「俺らの仕事は琴音ちゃんの監視兼お手伝いだから」

絶対嘘だ!また打ち込もうとすると、はい没収と言われてタブレットを取り上げられる。

何をするっ奏多さん!!

「琴音ちゃん、1人で全部やらなくていいの。それに、俺たちは手伝うだけだから!」
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