私のご主人様

「男子禁制だから!入ってこないでよね!」

「お嬢、まずいですって。琴音ちゃん返してくださいよ」

「いーや!」

少しだけ開けた襖の隙間に押し込められるように部屋に入れられてしまう。

あれ、フローリング?ベッドもある…。勉強机もあった。ぬいぐるみやクッションがあって、女の子のお部屋って感じだ。

振り返ると、梨々香さんも入っていて、廊下に向かってあっかんべーしてピシャリと襖を閉めてしまった。あらら…。

「えへへ。ごめんね。強引にして。でも、嬉しいの!ここ、女私しかいなくて寂しかったんだ」

「…」

「あ、喋れないんだよね。えーと。これどうぞ!」

差し出してくれたのは大学ノートとシャーペン。かわいいイラストだった。

受け取って、さらさら書いて見せる。

『改めて、葉月 琴音です。こちらこそよろしくお願いします』

「えぇ、固い~。タメ口でいいよ。私もことねぇのことお姉ちゃんと思ってるからね!」

『でも、私は』

「そんなの、気にしなくていいよ。あ、梨々香って呼んでね」

全部書き終わる前に遮られて、梨々香さんは笑う。
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