私のご主人様
「梨々香、何してる」
「っげ!お兄ちゃん…」
あ、季龍さん…。かれこれ5日ぶり。廊下にはホッとした様子の奏多さんたちがちらりと見えた。
頭を下げると、頷かれたけど、視線はすぐに梨々香ちゃんへ向く。
「勝手に会うなと言っただろ」
「だって全然会わせてくれないじゃん!」
「琴音には家事を任せるために連れてきたんだ。お前の勉強は家庭教師がいるだろう」
「あのじじい何言ってるか訳分かんないんだもん!ことねぇに教えてもらう!」
「ダメだ。琴音にこれ以上負担を増やすつもりはない。どうしても家庭教師が嫌なら、俺が見る」
「なら私も家事手伝うもん!お兄ちゃんに教えてもらうのも嫌!何言ってるかわかんないもん!!」
あの~。誰か助けてください。
ヒートアップする兄妹ケンカのど真ん中に置かれちゃった。今すぐここから抜け出したいっ!!
こっそり抜け出そうとすると、梨々香ちゃんに抱き着かれる。脱出失敗。