私のご主人様
「ことねぇがいいっ!」
「梨々香、いい加減にしろ!琴音はダメだ!!」
耳が痛い…。季龍さんもこんな、お兄ちゃんの顔をするんだってちょっとびっくりする。
で、そうじゃない。梨々香ちゃんが筆談用にくれたノートを引き寄せる。頭の上ではまだまだ兄妹ケンカ続行中です。
よし。書き終えたものを兄妹ケンカ真っ最中の2人の間に突き出して見せる。
『私は構いませんよ』
「ことねぇありがと~!」
「…」
むぎゅっと抱きついてくる梨々香ちゃん。頭をよしよしってするともっとと言うように正面に回ってきてすりすりされた。
季龍さんはため息をついて、諦めたみたいです。
「琴音、無理はするな」
「コク」
「わ~か、ここちゃん連れ出してきてよ。明日の夜ご飯の材料注文しなきゃ間に合わない」
「!」
今何時!?壁にかけられた時計を見ると20時を回ってた。わお。全然気づかなかった。
抱きついたままの梨々香ちゃんの頭をコンコンと叩いて、離れてもらう。