私のご主人様

廊下に出ると、奏多さんと暁くんが深いため息をついた。

「琴音、とりあえずそれやったら飯食べるぞ」

「コク」

差し出されたタブレットを受け取っても動く気配のない2人。

あれ?ここでやるってこと?まぁいっか。

とりあえずさっさと必要なものを注文して、お届け時間は明日の15時に指定しといた。

終わって顔を上げると、奏多さんがさりげなくタブレットを持ってくれる。優しいなぁ。

「ここちゃん、なに作ってくれるの?」

「!」

「琴音」

タブレット渡しちゃったよ。奏多さんに手を伸ばすと、暁くんに呼ばれる。

通訳してくれるって合図です。

「“から揚げとサラダ、肉じゃが、お味噌汁で考えてます”」

「…から揚げ、サラダ、肉じゃが、味噌汁だそうです」

「おお。豪華だねぇ。明日の夜が楽しみ」

伸洋さんの笑顔に、頑張らなきゃってやる気が出てくる。

弁当生活に終止符を打ってやるのです。
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