私のご主人様

体を洗い終えて湯船に浸かると、2人揃って深く息をついた。

やっぱり落ち着きますよねぇ。気持ちいいです。

「ことねぇ、怖くないの?」

「?」

また唐突にどうしたんでしょう。怖いとはなんのことでしょうね。

首をかしげると、同じように首をかしげてしまった梨々香ちゃん。

「え?…あれ、ことねぇ、ここのことなんだと思ってる?」

「…?」

ここのこととは、永塚さんの家ってこと?

とりあえずお金持ちだとは思ってて、だから財閥かなぁなんて思ってるんだけど…。違うのかな?

梨々香ちゃんの手のひらに『ざいばつ?』と書くと、梨々香ちゃんは2回目くらいで読み取ったようで、複雑な表情を浮かべた。

「お兄ちゃん伝えてなかったんだ…。…ことねぇ、ここのこと知ってもいなくならないで。私いるし、みんなことねぇに悪いことしないから!」

「??」

どういうことでしょう。でも、梨々香ちゃんからはっきりした答えは言うつもりはないらしく、はぐらかされてしまいました。
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